人々は、まず、自然界の中から自分達に役立つ(主として食用)植物を探し出して、これを何時でも入手しやすいように、身の回りで育て始めました。
このようにして身の回りの植物を良く観察する環境になると、同じように見える物でも微妙に違いが有る事に気付きました。
例えば、ある時病気が発生してまわりの作物が全滅したのに生き残った物とか、他の物より沢山実が付く物などに気が付きました。
人々は、これらの良い特性の有る作物を特に大切に子孫を増やそうとしました。
これが最初の品種改良の始まりです。
次に人々が目指した物は、別々の作物の良い所取りです。
例えば、「美味しいけど、病気に弱い物」と、「味はそこそこで病気に強い物」を組み合わせて、「病気に強くしかも美味しい物」を造ろうとしました。
しかし、これはなかなか大変です。失敗すると「味がそこそこで病気に弱い」物が出来てしまいます。
しかも、成功と失敗はほとんど偶然の確率に左右される為、「病気に強く美味しい」と言う人間にとって都合がよい特性が固定されるまでは、良い特性をもった子孫を何世代も組み合わせをしなければなりませんでした。
そこで、病気に強い物と弱い物は、そもそも何が違うのかと言う事に着目しました。
すると、それは遺伝子のDNAの一部の違いだと言う事が判りました。
それなら、「美味しいけど、病気に弱い物」に病気に強い特性をもった、DNAを直接送り込めば良いと言うアイデアを考えました。
アイデアは良かったのですが実際の方法はなかなか見つかりませんでした。
ところが、1970年代後半に、アグロバクテリウムという微生物の研究をしていた科学者が、この方法を見つけました
その人は、この微生物が植物の根っこにこぶを作ってしまう原因をしらべていたのですが、それはアグロバクテリウムが、なんと自分の遺伝子(T−DNA))を切り離してその植物に送り込み、必要なアミノ酸を作ってもらっていたのでした。
つまり、アグロバクテリウムは、自分の遺伝子を植物に運び込むことができるのです。
そこで、アグロバクテリウムにT−DNAの変りに、「病気に強い」という遺伝子を運んでもらうようにして、直接「病気に強い」という特質を組み込む事が出来るようになりました。
もう少し細かく言うと、この時、遺伝子を運ぶアグロバクテリウム(ベクター)に元から有る遺伝子を切り離し(制限酵素)たり新たな遺伝子を貼り付け(リガーゼ)たりします。
